†夢の掛橋†第2歩

みなさんこんにちは、夢の掛橋管理人西村 茉莉です。

 

さて、今回のお話はある女の子の記憶を辿っていくお話です。


では、どうぞ…

 

†…†…†記憶の扉†…†…†

どんなに手を伸ばして全速力で走ったとしてもその背中には届かない。
青いチェックの上下のパジャマはとても似合っていて、悪戯に笑う笑顔がとても爽やかで落ち着いた男性を匂わせていた。

 

布団を跳ね退け、呟く。

「なんだ…夢か…」

何が起きたのか理解出来ず、とりあえず布団から出ることにした。
蝉の鳴き声が響く。窓の外を見れば真夏の太陽が真っ黒のコンクリートを静かに焼いていた。
幾度となく繰り返したこのデジャビュに私はある人物を思い出す。

「幸貴…」

心から大切にしていて、誰よりも愛していた元彼氏。私にとって掛け替えのない存在。そして、もう記憶の中にしか存在しない人。

窓辺に飾ったツーショット写真は白いベッドの上に座って微笑む幸貴の少し窶れた顔と、満面の笑顔を浮かべる私だった。
23歳。当時の幸貴の歳。まだまだ遊びたかっただろうし、もっと勉強もしたいと言っていた幸貴との最後の写真。

“俺が死んでも夏樹が俺を忘れなきゃ、俺はいつも夏樹ん中に生きてる。多分俺に残された時間はあんまないから精一杯夏樹を笑顔にしてやるからさ、笑えよ、夏樹。で、俺を絶対忘れるな。”

幸貴が私に遺してくれた手紙。
本当にこれしか書いてなくて最初は笑ったけど、私はやっぱり幸貴が好きでその幸貴からの手紙が嬉しくてもう何回も読んだ。

「幸貴、愛してる」

写真へ愛の告白。
1つ後悔してることは私は1度も幸貴に“好き”とは言わなかった事。だから写真に伝える習慣が出来た。

もう後悔しないように、私がちゃんと歩き出せるように幸貴は絶対に見守り続けてくれるから。
記憶の扉の中に必ず幸貴はいるから…

 

†…†…†後書き†…†…†

はい、いかがだったでしょうか?
この作品は西村の好きな雰囲気で、当時にしてはまだクオリティは高めかなと思います。

きっと彼女はこの後、自分の「未来」を歩き始めたのではないでしょうか。

この作品が皆様にとってそんなきっかけになりますように。

では、またお会いしましょう。